グリスパズ・イブに乾杯!

 アフロで長風呂な小粋でキュートな論客。

だいたいこの線で残りの人生を生きていこうと考えているが、今のところうまくいっていない。ひょっとしたらコンセプトが間違っているのかもしれない。けれど、長風呂はやめたくないので、今晩も「いで湯と文学の街」で「最高のスパ」について頭をめぐらしていた。 

 (写真は「スパ王」。写真で見る限り、泉質がかなりどろっとしているので、あまり浸かりたい気分にはならない。しかし若者を中心に人気が高いらしい)

「最高のスパ」については人それぞれいろいろあるだろうが、スパからあがった後に飲む最初のビールの数口が、五臓六腑に沁みわたる最高の物であることに、さほど異論はないだろう。湯上りの仲間とテーブルを囲むと、誰でも注文の第一声はこうなるのではないだろうか。

まずは全員ビールで。

人生のうち何度か発したそのセリフが間違っていたとは思わない。けれど「何て自分は凡庸な奴なんだ」と泣きたくなるような一行に、最近出会ってしまった。

まずフリーエネルギーができて、  

エクサスケールの衝撃

エクサスケールの衝撃

 

 …凄すぎる。手始めに駈けつけ一杯ビールを飲む勢いで、そんなものを作ってしまうのか、「ポスト京」のスパコンは。自分が「発送電分離」をどう導くかに頭を悩ませ、電話をくれた星の王子様に「有望ですよ!」と励ましてもらっていたのが、遠い昔に別の星で起きた出来事のようだ。

少し考えればわかるが、フリーエネルギーが開発されれば、世界にある問題の半分以上、あるいはほとんどが簡単に解決できてしまう。「画期的」という一語では足りず、「画期ーン、モッティー、画期イイ!」と誰もが口を揃えて、沿道に出て旗を振らねばならないほどスパらしいのだ、いや、本当。

フリーエネルギーから「不労」と「不老」へ。 

 約一週間前、そのフローチャートが風呂好きな一般人にもわかりやすい文章で、近刊の新書に登場した。(AIが人智を凌駕する)シンギュラリティの到来を確信しているシンギュラリタリアン(以下、滑舌の回しやすさと cute さを考慮して「シンギュラリタン」とする)であるモッティこと齊藤元章がリードする後半が、特に面白い。 

上記記事は先頃引退したトッティ

人工知能は資本主義を終焉させるか 経済的特異点と社会的特異点 (PHP新書)

人工知能は資本主義を終焉させるか 経済的特異点と社会的特異点 (PHP新書)

 

自分の言葉で手早くまとめてみたい。

 1. プロパンガスボンベ程度の大きさの常温核融合設備が普及する。最大100℃くらい。放射能もまったく発生せず、地震等で破損しても停止するだけなので、危険性はほとんどなく、経済性もきわめて高い。

まずは駈けつけ一杯。フリーエネルギーは、9.11の偽旗テロで使用されたという噂もあった常温核融合になる模様。

WTCビル地下に仕掛けられたのは、ウラン燃料を使用しない常温核融合反応で爆発する純粋水爆的熱核爆弾である可能性が高まりました

2. エネルギー保存効率99%の蓄熱物質の開発を進め、地震大国日本の地熱を発電に応用し、どの住宅の地下からもアクセスできる「地中熱」を活用すれば、エネルギーの地産地消どころか、各世帯での「個産個消」も充分に可能。エネルギーはフリー化する。

まさか、ここで先輩の建築家自邸に絡めて書いた「地中熱」の話が出てくるとは。

学生劇団の舞台監督だった建築家の先輩は、自邸の屋根裏部分にある太陽で熱せられた空気を、配管で床下へ引っ張って、暖房に使うアイディアをテレビで披露していた。

(…)自分はむしろ、地熱発電の盛んな地方の出身だったらしき彼は、自邸に地中熱を採り入れる発想をするのではないかと想像したくらいだ。 

 3. フリーエネルギーで植物工場が大飛躍する。

 30階建てくらいのビルと同じ高さで、100段畑を24期作できるようになる。露地栽培の2400倍の効率で安全な稲を収穫可能。 いずれは収穫もロボットで。動物からの収奪を伴う「家畜」は終了して、肉や魚はすべて合成肉になる。

現在でも、自動農園キットはここまで進んでいるので、実現可能性は高そうだ。

4. レジャー系VR技術とSNS系VR技術の発達により、都市部への人口の偏在がなくなる。

 

5. フリーエネルギーにより衣食住がほとんどフリーに近づくと、人々は労働やお金から解放され、それぞれの分野へそれぞれの探求心が向かう。

2017年に、ロシアで、24時間・約100万円のコストで、3Dプリンタによって住宅が建てられたことが話題になった。

6. 「不労」から「不老」が実現する。

7. 先進国が「不労 / 不老」化するのと並行して、発展途上国へ貢献しようとする社会起業家たちが増える。利他精神と共感能力の高い人が増える。 

 近未来に限れば、ざっとこんなところ。暗い話題が多い日本で、こんなに希望に満ちあわれた本を読んだのは久しぶりだ。シンギュラリタン・モッティから目が離せない時代が当分は続きそうだ。

ちなみに、エクサ・スケールのスパコンだけでなく、AI、量子コンピュータと、それぞれ異なった種類の驚異的革新が進んでいる。バシャールのイチ推し量子コンピュータでも、開発競争で日本がリードしているらしいので、時間ができたら調べてみたい。

さて、希望の持てる話を読んで希望を持つのは誰でもできそうなことなので、もうすこし暗い話、つまりは駈けつけ一杯目の「まずはフリーエネルギー」が注文できるようになる前の10~20年間のことを考えたい。それまでの日本経済の先行きに、あまり明るい見通しはなさそうなのが気懸かりだからだ。

 上記新書の対談相手である井上智洋は、人工知能通でありながら経済学者でもあるという学知横断的な逸材。情報の真贋鑑定力を基礎にした経済分析の独創性と、どこまでもわかりやすく語りうる卓抜な発信能力ぶりに、読んでいて嬉しくなった。

「ポスト京」開発の精鋭部隊員である齊藤元章が、井上智洋の経済学的立場をひと通り把握したあと、こんな素朴な感想を口にしている。

齊藤:それも、いままでなかなか聞かれなかった話ですね。学校などでは教えられないことなのでしょうか。

井上:学校では内緒にされていることだと思いますね。先生も知らないんでしょうけど。

 その通り。実は、国民があまり知らされていないことの方に、「日本の失われた20年」の根本原因があるのだ。

自分の経済系の記事のうち、この地点から話を始めたい。 

(1)では、さっそく野口悠紀雄と小黒一正による「フィッシャー方程式を正確に理解すれば、インフレ期待は名目金利だけを押し上げるので、実質金利に影響なし」を強力に補強する主張が飛び出す。

 

現にQQEの実施以降、彼らが主張していた「マネタリーベースと期待インフレ率の相関関係」は完全に崩壊している。


期待インフレ率が上がっても無効であることが分かっているのに、その前段階である期待インフレ率も、量的緩和によっては上げられないのである。これ、やはりそうだったのか。どう見たって、国民経済を回復するために立案されたものではない気がする。日銀の量的緩和のスジの悪さは強烈なものだ。 

 上記引用文中の引用部分は、富士通総研による分析だ。

そこで使われていたフィッシャー方程式とテイラー・ルールの連立方程式の解(2つの交点)のうち、アメリカ経済が分布している正解周辺の「□」とはちがうハズレの解答を、日本経済の「○」が出してしまったことが、グラフを見るだけでよくわかる。

f:id:tabulaRASA:20171124211154j:plain

https://files.stlouisfed.org/files/htdocs/publications/review/10/09/Bullard.pdf

なぜこんなことになってしまったのか? 実はこのグラフからは見えないのだ。

しかし、富士通総研の分析から離れて、井上智洋は明快にこう宣言してくれる。

マネタリーベースは拡大しても、マネーストックが拡大していないから、日本は「信用創造の罠」に陥って、「失われた20年」が続いているのです。

これは自分も全面的に支持できる正論だ。量的緩和(マネタリーベースの拡大)を行っても景気が回復しない理由は、そのマネーが日本国民の手に落ちず(マネーストックが拡大せず)、欧米のバブルを買い支える資金へとなり果てていることが問題なのだ。

同じ預金封鎖関連本を執筆した石角完爾は、貨幣乗数アベノミクスによって7~8からあべこべに3に減少したことに注目して、アベノミクスが国内の市中に潤沢に資金供給するどころか、むしろ民間にマネーが出回らなくなったと述べている。「サギノミクス」とは、言い得て妙だというわけだ。 

日本における「信用創造の罠」に最初に言及したのは、管見の限りでは、この本。 

円の支配者 - 誰が日本経済を崩壊させたのか

円の支配者 - 誰が日本経済を崩壊させたのか

 

 ケインズ系経済学者として、「国民経済」を提唱した吉川元忠との対談で、リチャード・A・ヴェルナーはこう語っている。日本経済の病巣の中心を、同じ敗戦国のドイツ人が教えてくれたことが、何だか今晩はやけに嬉しい。敗れたという事実からの方が、きっと学ぶことは多いのだ。

 まず第一段階である準備段階では、日本経済にトロイの木馬が送り込まれた。ホメロス叙事詩によると、トロイ人に贈られた木馬の中にはギリシャ兵が潜んでいて、夜中に木馬から出て内側から城門を開けてギリシャ軍を導き入れ、トロイを陥落させたという。日本の場合には、日銀がトロイの木馬を国内に招き入れた張本人であり、木馬は、日銀による銀行貸し出し統制という形をとっていた。(…)銀行貸し出し「窓口指導」を通じて銀行や経済を支配する力を持っていた。そして、一九八六年から八九年にかけて、福井氏率いる日銀の営業局は、投機的な不動産貸し付けを増やすようにと、すべての銀行に命令していたのである。

 第二段階は、金融引き締め政策だった。この政策によって、過剰融資は不良債権化し、銀行や企業は骨抜きにされた。さらに、経済は縮小し、デフレが引き起こされた。こうして不況を一〇年以上にわたって長引かせ、記録的な数の企業を破産に追い込み、失業率を過去最高にすることで、日銀は日本の経済活動をひどく痛めつけたばかりか、日本型経済モデルに 悪名までもたらしたのである。(…)
 そして現在、我々がいるのが第三段階である。外資が街を跋扈し、日本の企業や銀行、そして不動産が二束三文で外国の投資家たちに売り渡され、さらに、かつての経済構造の最後の片鱗までもが、政治改革によって解体されつつあるのだ。
(…)

 実は、日本は日銀の金融政策によって人為的に破滅させられたというのが、真相なのである。(…)日銀の金融政策が、信用創造を減らして国民所得のパイを小さくすることによって、多くの日本企業を倒産させることに全力を注いだのであるから、破綻をもたらしたのも当然である。  

なぜ日本経済は殺されたか

なぜ日本経済は殺されたか

 

というわけで、個人的に頭の中で連立方程式を立てると、ヴェルナー×吉川元忠系の国民経済(反グローバリズム)の立場に、経済再生のためのデフレギャップ克服を掛け合わせると、正解は井上智洋の「ヘリマネ」に近い「政府紙幣による大規模な財政出動」になる

そう書くと、我田引水すぎるだろうか。いずれにしろ、鍵が「信用創造」にあるのが間違いないことが、今晩も確認できて嬉しかったのは本当だ。 

ところで、ヴェルナーは国民経済の立場に立って論文を書いた後、あのグリスパに実際に会ったらしい。「私の論文はお読みいただけましたか?」と訊くと、「読んだよ、面白かった」とひとこと言った後、すぐに話題を変えたのだとか。自分たちが主導している世界的な金融謀略の内部へメスを入れようとするエコノミストとは、突っ込んだ話をしたくなかったのだろうか。彼がFRB議長になる前の話だ。

FRB議長を退いてからは、比較的「真意」を受け止めやすい現実的な発言が飛び出すようになった。日本のマイナス金利が長続きせず、インフレへと転じる可能性を示唆したりもしている。量的緩和マネーでじゃぶじゃぶのバブルの中にある世界経済は、急激なインフレへと向かう「前夜」にいるとの見解表明だろう。

 クリスマスのイルミネーションが街をきらびやかに彩り始めた。

世界的なバブルがいつどのようにして弾けるのか。「前夜」にいる私たちは、露天のスパの湯船に身を浸す機会があるなら、星を見ながら「グリスパズ・イブ」の行方を考えてみるのも良いだろう。

この25年を乗り切りさえすれば、アカルイミライが開けてくるような多幸感を感じてしまうのは、自分が未来学者カーツワイルを信じすぎているのだろうか。あとたった四半世紀だぜ。

露天風呂から上がったら、皆でテーブルについて、この国が少しでもマシでいられつづけるようワイガヤをしようか。

まず… 何を注文しようか。22時を過ぎたら炭水化物は食ヴェルナーという声が聞こえる。そうなら、今晩はドイツ・ビールを飲みたい気分だ。ドイル・ビールといえば「イェヴァー」しかないだろう。

全員にビールは行き渡っただろうか。 

イェヴァー ピルスナー 330ml × 6本

イェヴァー ピルスナー 330ml × 6本

 

 遠い先にきっとある、私たちできっと創り出せる、この国のアカルイミライに、乾杯!

 

 

 

 

(口笛+政治的背景+感傷的なマイナーコードという足し算では、最高到達曲かも。ドイツ出身だが日本の『荒城の月』も演奏レパートリーにあるバンド)。

I follow the Moskva
Down to Gorky Park
Listening to the wind of change
An August summer night
Soldiers passing by
Listening to the wind of change

 

The world is closing in
Did you ever think
That we could be so close, like brothers
The future's in the air
I can feel it everywhere
Blowing with the wind of change

 

Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow dream away
in the wind of change

 

Walking down the street
Distant memories
Are buried in the past forever
I follow the Moskva
Down to Gorky Park
Listening to the wind of change

 

Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow share their dreams
With you and me
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow dream away
in the wind of change

 

The wind of change
Blows straight into the face of time
Like a stormwind that will ring the freedom bell
For peace of mind
Let your balalaika sing
What my guitar wants to say

 

Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow share their dreams
With you and me
Take me to the magic of the moment
On a glory night
Where the children of tomorrow dream away
in the wind of change