絞首台特急がすぎたあとの風の静謐

少年時代に天沢退二郎の「60年代詩」を愛誦した人間が、自分以外にいるのかどうかは知らない。希少な存在かもしれないが、きわめて短い一時期、あの童話の「光車」のごとく美しく禍々しく輝いていた天沢の詩の方が、希少な空前絶後の存在だった。 失神を繋いで飛ぶデッキから 白い少女ががらんどうの瓜を分娩する その瞬間…